2026-09-28

社会保険の適用拡大が10月1日から|10人以下の会社の番は2035年10月と決まっている

10月1日から、パートやアルバイトの方の社会保険の入り方が変わります。

これまでは、月の賃金が8.8万円以上、という条件がありました。 この条件が10月1日でなくなります。 週に20時間以上働いていれば、月の賃金が5万円でも加入の対象になります。

ただし、今回から全部の会社が対象になるわけではありません。 いま対象になっているのは、従業員が51人以上の会社です。

厚生労働省が出している予定表では、この人数の線がこれから下りてきます。 2027年10月に36人以上。 2029年10月に21人以上。 2032年10月に11人以上。 2035年10月に、人数の条件そのものがなくなります。

働く人が10人の会社の番は、2035年10月です。 9年先になります。

だから今回はうちに関係ない。 そう読んで閉じても、今月は何も困りません。

そのうえで、今回から1つ起きることがあります。 同じ週20時間の働き方でも、勤め先の人数で扱いが変わります。 51人以上の会社なら、10月1日から社会保険に入ります。 10人の会社なら、入りません。 働く人から見ると、同じ時間を使って、引かれる保険料も、将来受け取る年金の計算も別の形になります。

募集の紙に並ぶ条件が、時給だけではなくなる、ということです。

もう1つ、この予定表には、ほかの値上がりにない性質があります。 日付が先に出ている、ということです。

材料の値上がりは、取引先から届いた紙1枚で知ります。 最低賃金は夏に目安が出て、秋に効きます。 どちらも、知ってから払う日までが短いです。

社会保険の人数の線は違います。 9年分の日付が、もう並んでいます。

この表が言っているのは、つまるところ1つです。 人を1人増やす、の値段が段階を踏んで上がります。 そして、上がる日が分かっています。

パートの方に週20時間で入ってもらうとします。 いまは会社の人数が10人なので、この方の社会保険の負担は発生しません。 2035年10月からは、同じ人に同じ時間で入ってもらって、そこに保険料が乗ります。 会社が払う分と、本人の手取りの両方が動きます。

9年あります。 長いようですが、そのあいだに何を減らしておくか、と考えると、そんなに長くありません。

小さい会社が仕組み化に向かう理由は、新しいもの好きだから、ではないと思います。 事務の人を1人雇う余裕がないからです。 余裕がないほうが、機械に寄せる理由は強くなります。 大きい会社は効率を上げるためにやります。 小さい会社は、回すためにやります。

では、何を機械に渡すか。 分け方は1つで足りると思います。 判断が多い仕事か、転記が多い仕事か、です。

転記は、見て、写すだけの作業です。 紙に書いてある数字をパソコンに打ちます。 メールに来た内容を表に貼ります。 できあがった書類をファックスで送ります。 届いた紙の数字は、また別の表に入れ直します。

うまい下手が出にくい作業です。 その代わり、時間だけは確実に持っていかれます。 そして、その時間はだいたい社長か、一番長くいる人が抱えています。

判断は違います。 この人にこの仕事を任せるかどうか。 この見積もりを受けるかどうか。 この値段で出すかどうか。 ここは人が残ります。

9年かけて上がっていくのは、人にかかる値段です。 だとすると、9年かけて減らしておきたいのは、転記に使っている時間のほうになります。 判断の時間ではありません。

ここを取り違えると、逆のことが起きます。 人を増やせないぶん、社長が判断も転記も両方やる形になります。 判断の質が落ちるのは、だいたいそこからだと思います。

今日できることは、たぶん1つです。 先週1週間で、転記に何時間使ったかを数えることです。

数えるのは面倒です。 手が止まった時間は記録に残っていません。 思い出しながら、紙に書き出すことになります。

数が手元にないままだと、9年後の選び方は人を増やすか、社長が夜に打つか、の2つになりやすいと思います。 数えてあると、3つめが出てきます。 その時間のうち、どこを機械に渡すか、です。

2035年10月は遠いです。 遠いので、いま慌てて何かを買う必要はないと思います。

ただ、日付が先に分かっているコスト増は、そう多くありません。 ふつうは、来てから知ります。 分かっているうちに数えておくと、来たときに選べる手が増えます。

うちは、この転記の部分を仕組みに変える仕事をしています。 ただ、どこに何時間かかっているかを数えるところは、社長にしかできません。 先週の1週間分で足ります。